R2年 小学生クラス説明会

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園長からのメッセージ

シリーズ23 2017年7月発信


モンテッソーリ教育現場では子どもの協調性や社会性は育たないのか⁈

藤井聡太四段がモンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園を卒園したということで、一躍モンテッソーリ教育が脚光を浴びています。全国ネットでも盛んにモンテッソーリ教育を取り上げているのでご覧になった皆様も多いのではないでしょうか。松浦学園子どもの家も地元静岡の地方局静岡朝日テレビの取材を受け、7月3日(月)に放映されました。大体3分程度でまとめられていることが多い中で、静岡朝日テレビでは12分以上にわたり取り上げられました。少しでもモンテッソーリ教育のすばらしさと、それを一人でも多くの子どもに還元したい者にとってはとてもありがたい機会をいただいたと感謝しております。

藤井聡太四段に注目が集まるのはその集中力です。そして、これがモンテッソーリ教育現場での「集中現象」によるところが大きいのではないかという点に焦点が当てられます。そこで、子どもの家の撮影では一人ひとりの子どもが自分のやりたいことを選び、その選んだことに一生懸命取り組む姿。繰り返す姿が収録されました。放映の中でもこの子ども達の姿が流されました。

折って、切って、貼る

アジサイに集まるいろいろな動物

個別活動で出来上がった作品の数々


この番組中では教育評論家の尾木直樹さんの解説も添えられ、モンテッソーリ教育を非常に高く評価されていました。嬉しいことです。同時にデメリットは何かあるかという質問に対しては、モンテッソーリ教育そのものの問題としてではなく日本の教育の問題として、教師が主体で一斉画一の中でその枠にはまらず好きなことに没頭する子どもが勝手でわがままだとラベリングされてしまうことがある点を挙げられました。

念を押しますが、これはモンテッソーリ教育の問題ではなく、日本の教育制度が抱える問題に根を発するものです。番組の最後の場面ではキャスターやコメンテーターがこの部分を取り上げてモンテッソーリ教育では子どもの協調性や社会性の育ちに問題が生じ、あたかも小学校以降に不適応な子どもが出てくるような誤解を生ずるような終わり方であったことは残念でなりません。というのはモンテッソーリ教育に対する質問の中で圧倒的に多いのがこの点に関するものだからです。

収録の際には子ども達の個別の活動だけではなく、朝の集まりや集団提示、モンテッソーリ教育では線上歩行や静粛練習と言われる集団での活動も数多く撮影されました。また、私からもお話の中で乳幼児期の課題は「個」と「集団」の両面の育ちが必要であること。そして、「個」の活動を通して自己確立がなされること。この自己確立がなされてくると少しずつ子どもの視点は周りに注がれるようになり、社会性や協調性という集団生活を行っていくうえで必要な育ちが自然に現れてくることをお伝えしました。残念ながら限られた時間の中で(実際の収録は5時間程度で、その中から10分弱が映像として流されました)、収録された全部が放映されるわけではなく、一部が切り取られて放映されました。

食物連鎖の集団提示

みんなで行うリズム体操


モンテッソーリ教育現場では子どもの協調性や社会性の育ちに問題を生じるどころか、個の活動を通して自己確立がなされていくからこそ、正しい順番で協調性や社会性が育まれていきます。集団の活動を与えるから協調性や社会性が育つのではなく、自分の力でさまざまなことができるようになる経験を通して自己が確立されていくからこそ協調性や社会性という集団で必要な要素が身に付いてくるのです。そして、そのための活動も十分にモンテッソーリ教育現場では準備されているのです。

モンテッソーリ教育現場は決して子どもが好きなことをやりたい放題やっている場ではないのです。それは放任の場であり、子どもの自由な活動の場ではありません。モンテッソーリ教育現場は子どもの言いなりの場ではないのです。子どもの言いなりの場では確かに協調性や社会性は育ちません。しかし、モンテッソーリ教育現場には決まりや約束があります。そして、それらを子ども達は従順に受け入れられるようになります。なぜなら一人ひとりが持って生まれた「自己教育力」、自分でできるようになる力を発揮するモンテッソーリ活動の場が与えられ、個が充実するからです。つまり集団で必要になることが身に付いて行く前に、まずは個の充実が必要であるということです。

楽器で音を奏でよう


藤井四段のお陰でモンテッソーリ教育に注目が集まることはありがたいことです。そして、メディアに取り上げられることもモンテッソーリ教育が広まっていく上でありがたいことです。同時に、メディアではすべてが伝えられるわけではないことも事実です。ましてや、モンテッソーリ教育を受ければすべての子どもが藤井四段になれるかのようなモンテッソーリ教育をまるで魔法の万能薬のような取り上げ方をするのは誤りです。一人ひとりが持って生まれた能力や才能は違います。モンテッソーリ教育で培われるものは人生の出発点である乳幼児期に、生きていく上での軸になる部分であり、それは形として、つまり将棋の強さや学力、運動能力などの目に見えるもの、ではありません。人格を形成する上で大切な自発性や主体性、集中力や意志力。そして、人と関わることの楽しさや集団の中で今はどうするべきかがわかる判断力といったどちらかというと目には見えないことです。この部分が育てば一人ひとりの才能や能力が目に見える形となって将来現れてくると考えるべきでしょう。

藤井四段を機にモンテッソーリ教育に関心をお持ちになった皆さん。どうか広い視点でモンテッソーリ教育全般をとらえてください。そのためにモンテッソーリ教育に関する書籍は数多く出版されています。モンテッソーリ教育を学ぶ場もあります。多くの研修会や講演会も各地で開催されるようになってきています。そういった機会をご活用ください。

モンテッソーリ教育を実践する場にある先生方、この機会をモンテッソーリ教育を正しく広めるチャンスと思って、より一層の現場の充実を図りましょう。

モンテッソーリ教育で我が子が育っている、もしくは育ったという保護者の皆さん。この教育のよさを余すところなく、広い視点でまだ知らない方にお伝えください。モンテッソーリ教育のよさを実感できるのは子どもが園に在園している時よりも、むしろ卒園して以降の方が多いようです。

教育が変わることによって私達の社会はより良いものになります。というよりも、教育によってのみ社会は変わります。なぜならば社会を変えるのは人間であり、人間は教育によってのみ変わっていくからです。

必要なものは正しい教育。そして、それがモンテッソーリ教育であることを私は実際にこの教育で育った子ども達の姿を見て確信しております。

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