|
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育とは、20世紀の初頭にイタリアの教育家、マリア・モンテッソーリ博士によって、教育に恵まれない幼児を対象に始められた教育です。この教育の特徴は、理論と同時に実践を重用視する点にあります。モンテッソーリのいう教育とは、教師が何かを教えるのではなく、子ども自身の内面から生命の成長を助けることであり、幼児の自発性を尊重し、これを引き出すような環境や教材を整備することであるとしています。つまり、子どもの発育においては、両親や教師は手助けはできるが、その発達は幼児の内面から主体的に行われると述べています。また、環境や教材は、合理的に計画的に考案され、この整備された環境の中で、本来子どもたちが持っている吸収し、活動しようとする精神を存分に発揮できるように配慮されています。このあらわれが『作業への集中』であり、この作業を通して人間は形成されると説いています。
この教育法の具体的な分野は5つあります。「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」です。そして幼児の成長にあわせた教具が考案されました。その教具は科学的、系統的な構造を持っており、中でも感覚教具の占める割合は大きく、子どもたちが教具を使う中で様々な感覚器官が洗練される仕組みになっています。
この教育を受けた子どもたちは、精神的・肉体的にも安定して正常に成長していくことが報告されています。
◆
『子どもの家』のカリキュラム
特に決まったカリキュラムというものはありません。なぜかというと毎日の保育の内容は整備された用具や教具との関わりで、子ども自身が決めていくからです。しかし、全くの放任というわけではありません。教師は一人ひとりの子どもの発達段階を観察し、その子に必要なものを提示していくこともします。
◆
モンテッソーリ教育を受けた子ども達の小学校での様子
幼児期にモンテッソーリ教育を受けて小学校に上がった子ども達には、以下の項目で共通項があるようです。
- 自立している - 自分のことは自分でやろうとする。自分のことが一段落すると助けの必要な子に手をさしのべる。
- 自律心が育っている - 人の話をしっかり聞くことができる。決まりや約束を守ることができる。
- 手順がよい - 先のことまで見通して活動することができる。
- 命令されることが嫌い - 自発性が育っているので「~しなさい」と命令されるのが嫌い。
- 感性が育っている - いろいろなことを意識することができる。
- 興味や好奇心が旺盛 - いつもアンテナを張り巡らせて生活している。
- 自己が確立されている - 自分に自信があるので人に流されない。
- 自分で目標を決めてがんばる - 自分で選んだお仕事と一生懸命関わる経験を積んでいるので、主体性を持った取り組みができる。
以上を4つの分野にまとめると
Ⅰ 数学性
算数そのものが好きとかできるとかではなく、考え方や動き方の中に数学的確かさがある。問題を処理する際に、まず、分析し、次に順序立てたり、比較したりする手順が身に付いている。代数的思考もさることながら、幾何学的直感は特に目立つ。中心をとったり、等分したり、均衡関係を見極めたりという幾何学センスが備わっている。
Ⅱ 言語性
自分のいいたいことを正確に表現することができる。表現する際の文章の構造が確かである。そのためか、人前で自信を持って落ち着いて発言できる。自分の使いたい言葉を探し出し、真似や無駄ごとに走らず、自分自身の考えをまとめることができる。
Ⅲ 動作性
自分の手を思い通りに使うことや、体のコントロールができているので、不器用さがない。道具の操作や、手先の仕事が巧みで段取りがよい。素早く動かせる手や足、腰を持っているので、変な転び方や怪我の仕方をすることはまれである。
Ⅳ 人格性
自分で選び、決めることができる。責任を持って遂行することができるので、一人でする仕事や役割を任されることが多い。取り組んだことに粘りがある。しかも、その課程で困難に遭遇するとき、逃げないで、むしろ歯を食いしばっても乗り越えようとする。自分で計画を立てること。計画を実現する順序をわきまえていること。一から出発して決して省略しない。
|
|
|