世界中が危機に瀕する今、モンテッソーリ教育の重要性が見えてくる
新型コロナウイルスが猛威を振るっています。非常事態です。
子ども達も外出は自粛。イベントも中止とストレスが溜まっていると思います。悲しい事実ですが、大人にもストレスが溜まるので家庭内でのDVや虐待の件数もこういった時期には増加するというデータが出ています。
モンテッソーリ教育の立場からこういう不安が蔓延する時期の私達大人の役割を考えてみましょう。
■人的な環境としての大人
まず、私達大人は人的環境として大きく子どもに影響を与えます。私達大人があまりにも不安を抱え過ぎ、疑心暗鬼になっているとその不安は子どもに伝染します。
「子ども達を不安にさせるのではなく、安心感を与えなければなりません。そうなるようサポートすることが大人として果たすべき最大の役割です。」
「あるがままを子どもに伝える」のがモンテッソーリの手法です。「大丈夫、大丈夫」と根拠のない安心感ではいけません。かといって、ことさら怖がらせたり、不安を煽るのもよくありません。テレビやSNSの一部の情報だけが目に入り過ぎるのもよくないでしょう。正しい情報をあるがままに伝えることによって、私達の真摯な姿勢を子どもは感じます。子どもに私達の感情が伝わります。頭で理解させる前に、子どもの心に響くことが重要です。
■今、私達はテストされている
子どもには今、世界中の人間が正しく行動できるかどうかをテストされていると伝えるとよいでしょう。
自分自身を守るだけでなく、同時に他の人も守れるかどうかを見られているというテストです。
ルールを守って、健康でいれば感染を広めることもなく、他の人も守れることを伝えましょう。そして、そのためにはちょっと今は我慢しなければならないことがあることも。
ルールは「手を洗うこと」「咳、くしゃみのエチケットを守る」ことです。そして、モンテッソーリ教育現場では「日常生活の練習」の一環としてこれらの提示が子ども達に伝えられています。
■モンテッソーリ教育で育つ人間像
以上のルールを守ることのできる子ども達は、モンテッソーリ教育で育つ人間像に当てはまる子ども達です。それは、「自立していて有能で、思いやりと責任感があり、一生を通して学び続ける人間」です。
自分だけ良ければよい。 = 自分はコロナには罹らないだろう。
思いやりと責任感 = 自分は掛からなくても、他の人に感染させるのでは。
自立していて有能 = そのためには「手を洗う」。そして、そのやり方を知っている。
一生を通して学び続ける = 今度このようなことがあった時にも乗り越えられる。
どうでしょうか。まさに今、必要なあるべき姿ではないでしょうか。
■モンテッソーリの活動でなるべき人間に育つ
毎日刻々と変わる新型肺炎の感染状況の中で、その時その時に判断していかなければならないことが数多くあります。つまり、自分で考えて状況を見極めて遂行していかなければならないことがたくさんあります。
しかし、日本では慣習や同調圧力に流されてしまい、自分で判断し、それに責任を持つことがなかなかできません。これまでそういった経験がないからです。いつも誰かの指図に従って生きてきた中では身に付きにくい力です。
VUCA(V=Volatile 不安定, U=Uncertain 不確実, C=Complex 複雑, A=Ambiguous 曖昧)の時代にはこの力が絶対に必要であることを新型コロナの状況は示しています。
「自分で選ぶ。選んだことに全身全霊で取り組む。終わったら元の場所に片づける。」
このモンテッソーリの活動こそが判断力、意志力、集中力、責任感を育てます。
世界が危機に瀕している今だからこそ、これまで以上にはっきりとモンテッソーリ教育の必要性が見えてきます。